夫婦問題
- 夫婦問題について
- 誰にも相談できず関係性がかなり悪化した状態で来院されます。あるいは相談しているにもかかわらず、どうしていいか途方に暮れている人もおおいようです。どうしたらお互いの関係性が改善できるかなどの相談内容が多いようですが、たいていは妻のみ受診され、夫はこの問題に関心がないか、もしくは受診されない場合がよくあります。状況があまりにも悪い場合は、一度距離をおく勇気が必要な場合もあります。ところがすでに自分を見失い、本当の幸福を見失っている人もいます。また、男女の関係だけではなく、会社内問題や兄弟の家庭や両親などの関係性も絡んでいることもおおく、さらには子供の非行や引きこもりの問題も加わり、より状況が複雑なこともあります。 自分は今、ここで何をすべきなのか少しずつ解決していくしかありません。
- 夫のDV問題について
- 多くのそのような夫は 暴力をふるう原因を妻に押しつけていることで妻が夫に対して罪悪感を抱き、何回も暴力を受けても、なぜか許してしまい、我慢するのが当たり前の状態となっています。しかし、耐えられなくなると家を出てしまいますが、経済的な問題で生活ができないことや泣きながら反省をする夫の姿をみては ”助けていくのは私しかいない”と自分を自分で説得し、再度、戻ってくる状況が続きます。しかし、お互いが決して幸福になることは少なく、夫婦の精神状態は悪く子供の養育にも影響します。また、最近では暴力・暴言ではなく、心理的に追い詰めていく精神的なDVのケースも増えています。この場合、妻は精神的なDVを受けていることも気づかないまま体調不良や抑うつ状態が続きます。大切なのは なぜ精神的に追い詰められながらも戻ってしまうのか、少しずつ理解をしていく必要があります。しかし、暴力がエスカレートしている場合は より深刻で我慢している場合ではありません。DVシェルターなどの社会資源を利用しつつ、自分の身を守る必要があります。
- 浮気・不倫について
- おおくの場合、誰にも相談できず不倫相手や夫婦の関係性がかなり悪化した状態で来院されます。あるいは相談しているにもかかわらず、解決策がなく途方に暮れている場合もあります。最終的には泥沼試合が続き、不倫を精算して夫婦をやり直すか、離婚して不倫した相手と新しい家庭を築くかですが、結末は不倫の関係が波状することがおおいようです。女性と男性では意見や価値観、考え方に違いがあり、感性も違いますので話し合いは容易ではありません。お互い上手に距離を取りながら話し合いをして行くべきですが、すでに自分を見失い、自暴自棄になっていることもあります。来院時に相談される方はほとんど女性です。内容はどうしたらお互いの関係性が改善できるかなどの相談内容が多いようです。状況があまりにも悪い場合は、一度距離をおく勇気が必要な場合もあります。また、男女の関係だけではなく、会社内問題や家庭や両親などの関係性も絡んでいることもおおく、状況が複雑なこともあります。また夫の浮気は妻は許すけど、妻の浮気は許せないなどのケースも多く、女性がどうしても不利な立場になってしまうのです。本当の自分と愛情について、もう一度考えてみましょう。何が幸福なのか 必ずわかる日がきます。
- 最近、特に相談が多いのが妻の浮気問題です。男性と違って、性的欲求や好奇心で浮気をするケースはほとんどなく、根底に孤独感や自己肯定感の低さなどの問題を抱えていることがほとんどです。夫が多忙で育児など協力することができず、妻が不満を募らせ、次第に亀裂が入っり、親との関係性の問題なども絡んで、状況は複雑です。また子供への罪悪感なども強く、不倫が長続きしないケースもよくあります。これは数多く相談を受けた経験からですが、夫の浮気に比べて妻の浮気の方が夫婦の関係性の改善が困難であることが多いようです。浮気を繰り返す妻に母娘問題が多く隠されており、根底に愛着障害(attachment disorder)があります。
- 原因について
- 最初はうまく行っていたのに徐々に関係性か悪化して、いつのまにか修復できないほどの状況になっていることも多く、ほとんどの人はその原因がわからないことが多いようです。結婚当初、恋愛感情もあり生活に盛り上がりますが、2~3年もたつと、次第に恋愛感情がなくなっていき、お互いの立場を尊重しながら助け合い、強い信頼関係が生まれていくのが通常ですが・・・ お互い、養育された環境は違うので考え方や価値観、習慣などは違って当然です。健全な夫婦とはお互い育ってきた環境の違いを理解し、話し合いながら妥協点を探し、お互いの欠点をカバーし支えながら新しい家庭の風習や環境を夫婦で作っていきます。ところが、お互いその妥協点の折り合いが全くつかず、お互い思い通りにならないと許せないなど問題が次々に生まれてくると夫婦の関係性が悪化していきます。この妥協点の問題に大きく関わっているのが、お互いの両親の問題があります。それぞれの両親が自分の家柄や世間体、価値観を夫婦問題に押しつけてくる場合はさらにこじれる結果となり、夫婦関係の悪化に拍車をかけます。これが嫁姑問題の代表的でもあります。また、両親が関係せず、このように夫婦でお互い話し合いをするにもかかわらず、関係性が悪化してくる場合では双方に何らかの問題を抱えていることがあります。
- 夫婦のいずれかに発達障害(病的レベルでない軽度のアスペルガー)の要素があると、相手は気持ちがわかってくれない喪失感に悩まされ、次第に関係性がうまくいかなくなります。発達障害の人々は気持ちの理解が得られることはなく、独自の方法で夫婦の関わりを持とうとします。これは夫にアスペルガーであることが多く、夫との情緒的な相互関係、つまり共感が欠如しているために、妻は気持ちがわかってくれないことに永遠に悩み続けます。妻は身体的精神的な不安反応を示して、抑うつやパニック障害などの精神疾患を発症します。愛情を注いでも愛情が帰ってくることはなく、家庭内で何事かが起ると混乱して大声を上げ、暴力的な行動をとるので、起きた事柄よりも夫をなだめる方にエネルギーが要ります。通常の夫婦であれば、たとえ意見が食い違っても、言葉や態度からお互いの気持ちが分かり合えるのが幸福と感じ、お互いに一緒になって苦難を乗り越えて行きますが、夫がアスペルガーであるといくら愛情をあげても、幸福を感じられない、愛情を奪い取られているだけだと感じ、次第に妻は家庭の中で自信を失い、うつ状態となることを「カサンドラ症候群」は「カサンドラ愛情剥奪症候群」とも言われます。通常は夫がアスペルガー傾向で妻が精神的に参っている場合がありますが、その逆もあります。
- 夫婦関係に自己愛性人格の問題あると、うまくいきません。自己愛性人格の問題点は、相手が自分の思い通りに行かないと我慢がならない、勝つか負けるかにこだわる。自分が家族の中心的存在でないとないと我慢がならない。欠点を指摘されると逆ギレする。相手を思いやる気持ちよりも、自分がどのように扱われるかに執着している。相手より自分優先。自分が有意な立場になるように演技的態度で相手を操作する。自分の評価に過敏、冷酷で共感性がない、などの問題点があります。しかし、このように自己愛が強いことが問題点になりますが、アスペルガー傾向との人とは全く違います。アスペルガー傾向の夫(妻)は相手の気持ちをくみ取ることができない反面、人をだまして操作することができません。つまり本音と建前がありません。逆に本来の自己愛性人格の夫(妻)は伴侶に対して操作性(建前と本音を使い分けて演技的に伴侶を操作する)があるのが特徴です。また、操作していることが悪いと自覚しているにも関わらず、自分の欲のために伴侶を操作します。また自分が操作していることがカウンセラーにバレてしまうとと自分にとって不利になるので、一緒にカウンセリングにくることはありません。結局は伴侶を操作することをやめなければ夫婦の破局が来ることが多いのも事実ですが、夫婦の危機が訪れたときに自己愛性人格の夫(妻)は何かのきっかけで自分を振り返りを行い、反省し、伴侶への気持ちを考え、思いやりをもつことができれば 夫婦関係の修復も可能です。しかし、自己愛が強くて、周囲に対して操作性が高く社会的地位と収入も高い人格の矯正は容易ではありません。それは自分に自信があり、困ることがないので反省が得られにくいとの問題があります。この問題に関して、例えば社会的地位が高い夫の浮気癖を治すのが非常に困難である事実がよくあげられます。
- 関係性の改善について
- 1.お互いの気持ちのすれ違いが大きな問題であれば、まず、そこを解決するのが大切と思います。お互い、感情が高ぶっている状態であれば、しばらく距離をおいて冷静になったときにゆっくり話し合える機会をつくりましょう。感情が高ぶっていたり、自分の気持ちに整理がついていない状況であれば、話し合ってもさらに関係が悪化する場合もあります。また、気持ちの整理が付かない状態のまま、一緒に生活しているとお互いを避けたり、必要な会話以外しないなどの状態も起こりえます。お互い気持ちが冷めているにもかかわらず、子供前に影響しないように夫婦仲が言いように演技する仮面夫婦を続けていることもよくあります。友人や同僚、親、兄弟に相談を持ちかけても全く解決しないときは、この問題に詳しい専門家に夫婦別々に相談することが必要です。
- 2.夫婦の関係の改善には、お互い養育された環境が違うので、慣習、価値観、考え方、思いやり、子供の養育方針など違ってくるのは当然です。どこかで、折り合いをつけて行かなければ、いけないのですが、この問題に関しては夫婦のみで話し合いをしていくことが大変重要です。お互いの両親がそれぞれに自分の意見が絶対正しいと言わないばかりに干渉してくるのであれば、状況はより複雑です。昔は直系家族がおおく、嫁はご主人の家庭環境にすべてを合わせていくのが当然でした。しかし、いまは時代も違うし、両親もそのことをしっかり理解していただきたいと思います。
- 3.夫婦問題に関して詳しい専門家は、妻も夫もカウンセリングを受けていただくことが重要と説明しているところが多いようです。確かにどこかで折り合いをつけて行くしかないので 妻も夫も心理面接を受けた方がいいのは当然です。ところが実際は妻がすでに精神状態が状態が悪くなって来院され、夫はほとんど受診を拒否しているケースがほとんどです。しかし、妻が受診され、心理面接を繰り返しておこない、妻に変化が現れると、その影響を受け夫も来院されることもよくあります。家族の一人でも変われば家族関係は大きく変わっていくのです。それほど、家庭での妻=母親の役割はたいへん大きいと実感させられます。
- 4.夫婦がうまくいかないのが男と女の生物学的違いを理解していないからとの説明がインターネット上散見されますが、私はそれだけではないと思います。なぜならば夫婦仲がうまくいっているケースは何も特別に男と女の生物学的違いを意識しなくてもうまくいくのです。根底にあるのは、お互いが信じられない、どのくらい大切にされているか知りたい、本年を言えない、相手を思い通りにしたい、などの強い自己愛が原因であることがほとんどなのですが、自己愛が強すぎると関係性が悪化してしまうことに気づいている夫婦は残念ながらあまりいません。自分の育ってきた環境で、自分の親がどのように自分を育て、なぜ自己愛が肥大してきたのか、理由を知り、夫婦それぞれが自己愛を洞察していくことが関係性の回復の大きなステップです。自己愛が強いとは、プライドが高く、見栄っ張りで、自分の思い通りにならないと我慢ができないひとで、相手の配慮に欠ける人です。自分が自己愛が強いと理解しながらも、そのことを演技的に隠し、ばれないようにしていれば、悪質といわざるおえないでしょう。その行為は まさに ” 相手をだまして思い通りにする ” です。
- 5.最終的には、相手を思いやる気持ちと相手の行為を許すことができるかどうかです。例えば聖書の個所には、一般の方々にも良く知られている「汝の敵を愛せよ」とイエス様が語られた言葉が記されています。これは裏切って自分を攻撃した人々を許しなさいとの意味ですが、そう簡単に許せないのが人間です。結局、愛している人の裏切り行為は、激しい憎しみとなって自分に返ってきます。そして愛していれば愛しているほど憎しみは強くなります。相手を責めることしかできなくなり、やがて戦いに疲れ、夫婦間に長い沈黙と孤独感がおそってきます。実はお互いにその苦しみをもっていながらも、なぜ分かち合えないのでしょうか? 少しお互いに距離をおいて、愛情とはなんなのか? その原点にもどり、「汝の敵をどうしても愛せない」の理由をさぐり、その苦しみを分かち合うことから初めてみてはいかがでしょう。
- 6. 夫婦関係の問題をすべて相手の責任にしていれば、まず関係性の修復は得られません。相手が発達だから私はカサンドラで被害者だ。私は悪くないなど、、とにかく、なんでも自分の立場を正当化していて、そこに相手への感謝、謝罪、いたわりがなければ修復はまず困難です。また表面上、にこやかにしていても心の中は許せない気持ちと憎しみしか残っていなければ、まず修復はありえません。お互い憎しみながら、夫婦生活を続けたとしても子供たちがそこに犠牲になります。確かに経済的な問題で我慢されている場合も多いでしょうが、子供への影響は大きく、子供への人格形成に影響します。父親がいないとダメとか、母親がいないとダメとか、そのような家族の形にこだわる人もおおく、子供の本当の気持ちを考えてはいません。むしろシングルで育てたほうが子供の幸福感が高いケースも多いのです。
- 7、自分の反省点を自覚せず、原因をすべて相手の責任にしているような夫婦の状態で、カウンセリングを行って修復しようとしても、まずうまくいきません。そのような夫婦は相手が自分の思い通りになれば関係性はうまくいくとの考えからぬけれません。カウンセリングを継続しても、うまくいかない怒りの感情がカウセラーのほうへ向き、治療者の悪口が口コミとして反映されることが多いのです。多くのクリニックやカウンセリングルームでは、そのような口コミは評判に直結するため、そのような相談をうける施設は少ないのです。
- 夫婦問題が問題で当院を受診されるときの注意事項
- 1、夫婦関係が悪化した原因はさまざま問題が重なり合っていることが多く、解決は容易ではありません。夫婦の性格の不一致や人格の問題、配偶者の精神疾患や発達の問題、親戚や両親の問題、不貞行為、など多岐多様にわたります。関係性が修復していくのか、逆に破綻していくのかは私たちにも予想はできません。
- 2、夫婦関係で、配偶者が発達障害であるために精神的に被害をうけたので、それを証明する診断書が書いてほしいとか、いろんなことを希望される方もいますが、夫婦関係や離婚協議、離婚裁判、親権の問題などに必要な診断書の作成は当院ではお断りをしています。ご了承ください。ただし、治療者ご本人に精神疾患があり、病状の回復に夫婦問題が影響されている場合は例外です。精神状態の把握に2~3か月必要なことが多く、診断書は初診日から3か月以上通院して、経過した状態で作成しています。
- 3、妻か夫かいづれかの来院では、何が関係の悪化が原因となっているか明らかにすることはできません。また配偶者が発達障害でないかとの相談が非常に多いのですが、実際には、検査や長期に本人を診察しなければわからないことが多くあります。→詳しくは、大人の発達障害の項目を参照してください。
- 4、どちらか一方だけの受診では、夫婦関係性の原因がなにか探ることはほぼ不可能です。その場合は夫婦関係の問題でなく、相談された方の治療がおもに行われます
- 5、夫婦問題は疾患や病気ではないので、夫婦問題解決の目的で受診はお断りいたしております。本人の治療に必要な場合のみ、ご相談を受けております。 また、夫婦で受診されるには、お互い精神疾患があり、双方に治療が必要である場合に受け付けています。精神疾患があっても、”私は病気ではない”との考え方の人は本人がそのことを受け入れるまで、待つ以外に方法がありません。医師から本人への説得も可能ですが、通院が継続しないことがほとんどです。
- 6、必要に応じて、配偶者に本人の病状や適切な対応の方法を説明いたします。
- 7、夫婦問題は病気や疾患ではないので、それのみを目的とする受診は医療保険上、問題があるため、現在受け付けておりません。夫婦関係改善のみ目的の方は民間のカウンセリングルームを利用してください。
- 8、別居、離婚問題に生じる法律上の問題については専門家にご相談ください。