- 統合失調症
- 統合失調症は代表的な心の病気の一つです。思春期に発症する事が多く、発症率は人口の1%前後です。統合失調症は日常生活に大きな支障を生じさせる可能性があり、軽くみることはできません。病気の発症後、治療を受けないでいると、その症状のため、日常生活に支障を来します。今回は統合失調症とはどんな病気なのか、病気を少しずつ理解していくことが重要です。統合失調症の治療に用いられる薬は、抗精神病薬と呼ばれています。この薬を飲むと ... 脳の中で起きている情報伝達機能の混乱を改善させることによって、症状が抑えられる と考えられています。しかし、ストレスに対して病状が悪化しやすいので、何がストレスなのか理解していかないと薬の量が増え、副作用の問題を抱えてきます。外来診察では日常生活の過ごし方や仕事の問題など、対人関係を中心に気軽に相談しつつ、薬は最低限の量で済むように心がけています。
- 統合失調症には多彩な症状が出てきます。頭の仲に誰かがいるような感じで、自分に話しかけてくる(対話性の幻聴)。考えたくもないのに次々に出てくる嫌な想像の世界や監視されている、悪口を言われている、私がすべて悪いなどの考えが沸き起こる。考えがまとまらず、何を話しているのかわからなくなったりもします。説明できない対人恐怖が襲いかかり、電車やバスに乗れなくなり、会社や学校で話しかけられると怖いため、家に引きこもっていることもあります。だからといって1人でいると急激な不安感や孤独感に襲われ、誰にも相談できずに苦しんでいることもあります。本人にしてみれば、自分の状態がおかしいことに気づいてはいますが、あまりにも不可解な感覚に苦しみ、どこが正常でどこが異常なのかわからなくなってきます。
- 統合失調症の典型的な症状が出現する前に、前駆期症状(ARMS)といわれる状態があります。睡眠障害不安障害やうつ病と間違えられやすく、この症状に詳しい精神科医師によって初めて診断されることがよくあり、早期に適切に治療することで予後が良い結果が得られます。
- 病状が進行してくると生活水準の低下がおこり、風呂や洗面がおっくうになったり、ベッドから動かなくなったり、一日中ごろごろ生活するようになります。また、対人関係がうまく築けなくなり、気分の浮き沈みが激しくなり、本人の家族が疲労困憊していきます。このような状態になれば、入院による治療を考慮したほうがいい場合があります。
- 外来では、病状の変化に気づけるように指導をしていくことや、生活水準を落とさないように社会資源をうまく活用しながら支援していくことが重要と思われます。回復期や安定期では認知行動療法やSSTが有効なことも多いようです。
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